小学生の頃、毎朝楽しみに見ていた番組がある。
「ズームイン!朝」がそれ。
人並みにアイドルやタレントにもキャーキャー言っていた子供だったが、それらはなかば「付き合い」で。
わたしがテレビに張り付くように見ていたのはニュースだったり情報番組だったり。
そうして毎日見ているうちに徳光和夫がどんどん好きになっていた。
写真:読売巨人軍公式サイトより引用
何年生くらいだったか、ある日父のお勤め先の中学校に撮影だか講演だかで徳光和夫氏が来ることになった(父は用務員)。
当時の徳光氏はいまをときめく大人気日本テレビアナウンサー。最近で言うと枡アナが来る感じかな?
それを聞いた私は、もう内容は忘れてしまったが徳光氏にファンレターのようなお手紙をていねいにていねいに書いて父に渡してくれるよう託した。
ブラウン管で毎日見ている憧れのあの人に直接声が届けられる!とあってけっこうな熱量の手紙になった。
父は無事にラブレターを渡してくれたとみえて、サイン色紙を持って帰ってきてくれた。
うれしくてうれしくて、色紙を眺めてはニヤニヤしていた。
だがほんとうの驚きはもっとあとにやってきた。
数年後、徳光氏は日本テレビを退社してフリーになった。
そのタイミングでなんと我が家に徳光和夫氏から封書が届いたのだ。
宛名はわたし。予想外過ぎて差出人の名前が脳に浸透するまで時間がかかった。
結婚式の招待状然としたご立派な封筒の中には、日本テレビを退社しフリーになりました、今後ともよろしくみたいなことが印刷されていた。
言うまでもなく、個人に宛てたものではなく、フリーで仕事を始めたという挨拶状みたいなもの。
それでも子供当時のわたしには嬉しくて嬉しくてほんとうに驚いた。
そしてむしろ、当時よりいまのほうがその行為に驚きと尊敬を感じる。
だって、仕事で行った先でたまたま受け取ったファンレターを書いてくれた子供にまで挨拶状寄越すって、どんだけ行き届いてるのさ。ちょっと凄くない?
フリーになるってのは一般的な感覚で言えば事業を始めるってことで、人脈大事になってくるからちょっとした付き合い先でもご挨拶はしておこうってのは当然の思考回路なんだろうけど。
そういうものまで何年も漏らさず記録を取っておいて、いざって時にそれをきちんと発動できる。
当人がすごかったのか、いいマネジメントを出来る人がついていたのかはわからないが、そういう実に些細で繊細なことまで対応を疎かにしない、からこそ、現在に至るまで業界でトップクラスにいられるんだろう。
良くも悪くも「ザ・昭和」って印象の徳光和夫氏。
今でも好きだし、路線バスの旅とか楽しく見てる。
これからも元気に長生きしてほしいな。