クラスメイトのAくんを好きになったのは桜舞い散る4月のこと。
横顔を眺めるだけでは飽き足らず猛烈にアタックを開始。
だがAくんは部活動に忙しく、熱烈ラブコールなんてどこ吹く風でスポ根青春まっしぐら。
飽きず懲りずに想い続けて追いかけ続けて数ヶ月。
想いがピークに達したのはAくんの部活動最後の夏の大会。
ああなんてカッコイイんだろ。もう地球上の何よりもAくんが好き。
Aくんに愛されるためなら何を投げ打ってもかまわない。
秋が過ぎ部活を引退したAくんは恋をする余裕ができた。
とうとう想いに応えてくれるときがきたようで、雪の舞い散るある寒い日なんとデートのお誘いを彼じきじきにしてくれた。
だけど、ああだけど。
もうそのときにはあの熱い想いは冷めちゃってるんだ。
気温の上昇とともに盛り上がった想いは気温の低下ととともにしっかり冷めきっちゃった。
えーと、今更?もうなんか、どうでもいいんだけど。
ヒトとヒト、ヒトとモノ、ヒトと何か、いろんな出会いがあってその出会いには縁がつきまとう。
縁がなければどんな出会いも無駄だし、縁があれば瞬間のすれ違いさえ重要なものとなる。
そしてそこにはもうひとつの重要要素があって、それがタイミング。
逃すとせっかくのご縁も台無し。
自分のペースで生きていると、機を逸してハンカチ噛むよな事態になりかねない。
じっくり考えて臨戦態勢を常に整え、いつでも走り出せるウォーミングアップを怠らず、しかも走り出すタイミングを瞬時に見極めなければならない。
フライングもダメだしスタート失敗したらやっぱりダメだ。難しい。
でもこの「時」というものをがっちり掴んだときって、何にも勝る喜びがある、気がする。
ある意味「時」に支配されることが必然の人生だからこそ、それを制御していくことはヒトに生まれた課題の一つなのかもしれないな。